V字回復の経営
三枝 匡
日本経済新聞社 刊
発売日 2001-09-17
価格:¥1,680(税込)
「太陽産業の役員室で開かれた経営会議は、上期の業績不振にもかかわらず、役員たちに危機感がまったく見られない。かつての花形企業も今は成長が鈍化し、マスコミには叩かれ、学生の人気も失せている。このままでは長い会社の歴史が終わる―― そう判断した香川五郎社長は決意を固め、まず役員人事で大なたを振るったのだったが…」
本書のストーリーは、事業再建を専門にするコンサルタントである三枝が、過去にかかわった日本企業5社の事業改革を題材にしたもの。ストーリーはノンフィションとフィクションの間、つまり5社での体験を素材に、どの企業にもあてはまる「経営改革のモデル・ストーリー」を構成したものである。
本書はフィクションであるが、それを感じさせない強烈なリアリティーを放っている。改革のもと、社内に生じる政治力学、葛藤、抵抗勢力とのかけ引きといった細部が徹底して描きだされているのだ。著者はストーリーの進行に合わせて組織硬直化の「症状」を分析したり、改革の「要諦」をまとめたりして、逐一処方箋を示していく。
ストーリーは、現実の直視と分析、先導者の組織化、改革コンセプトの共有、戦略の意思決定、改革シナリオの現場への落とし込み…という改革のモデルパターンをたどって進む。自ら改革すべき企業の代表取締役となり、リスクと利害を共にするコンサルティングスタイルを取る三枝ならではの経験と知識がストーリーの中に凝縮されている。
本書は、経営改革のシミュレーションとして他に類を見ないテキストである。けっきょく、「太陽産業」は各役割を担うリーダーが機能し、8年ぶりの年間黒字決算を達成するのだが、ここに日本企業再生のシナリオがあるような気がしてならない。(棚上 勉)
泣けて自信がつく経営書 2002-07-02
V字回復という言葉がはやっているが、いったい本当の意味は何なのか?またぞろ米国流の新しい経営用語が輸入されたのか?と疑心暗鬼でとりあえず本書を購入し読み始めたら、止まらない。時間を惜しんで二日で読みました。読ませるだけの内容の濃さがあります。「泣けて」「感動し」「経営リテラシーの勉強にもなる」ビジネス書というのはめったにありません。著者が最後に「私は本書を自分のビジネス人生の総決算のつもりで書いた」と言っているが真実でしょう。私もいっぱしのビジネスマンの端くれとしていくつかの経営書を手にしてきましたが、本書ほど感情移入でき、なおかつ、経営改革の本当の姿を、まるで自分がその会社の当事者のような感覚で夢中になって読んだビジネス書は他にありません。勿論、自分が勤務する会社をストーリーに重ね合わせてしまいますが、それが、「体験」を益々増幅させます。また著者の本書の構成、文体、表現などは驚くほど緻密で手抜きは一切ないと断言してよいのではないでしょうか。現場の生の話を元に書かれた本書の前では、あまた書店の店頭に並ぶ経営指南書の山は色あせてみえます。「読む」というより「体験する」機会を持てる本書に出会えて本当によかったと思います。三枝氏の他の著作も引き続きぜひ読みたいと思います。
読み物系としてさきがけ 2002-12-31
最近はいろいろなコンサル会社の方がこのスタイルを真似ているようだが、やはり三枝氏の豊かなコンサルティング経験からくる現実感は群を抜いていると思う。戦略とは何か?理論ではなく企業、組織、人間という立場を忘れがちな本が多い中で非常に参考になる。
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この記事は2006/6/6に作成しました。
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