負け犬の遠吠え
酒井 順子
講談社 刊
発売日 2003-10
才気溢れる、だがヒューマニストの対極を行くエッセイである。 2004-12-03
「負け犬」「勝ち犬」の的確な人物評に爆笑&感服。しかし著者の鋭い批評眼は乾ききって救いがなく、読後感は悪い。弱いものいじめスレスレの箇所もある。だが筆者が自身にも容赦なくツッコミを入れ、ナルシシズムと決別しているのは潔い。ところで著者は「価値だの負けだのということが、ほとほとどうでもいいことのように思えてくる」とあとがきで述べているが、実際は、他人に常に評価を下し、他人からつねに評価される生活から、逃れたいのに逃れられないといったところではないだろうか。私は普段は適度な毒(シニシズム)のある本が好きなのだが、この本はしかし毒が適量を超えているように思われる。シニシズムが読み手の心を捉えるのは、あくまでシニシズムの底に真摯さがある場合である。冷笑のための冷笑は虚無感しか生まない。一読の価値あり。しかし一読で十分。
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