MBAバリュエーション
森生 明
日経BP社 刊
発売日 2001-10
昨今、タイトルに何がしかMBAと書かれた本は、ときとして西欧的なMBA教育のメリットの礼賛か、冷たく無味乾燥なファイナンス理論の本だと、先入観を持って考えられてしまうところがあるかもしれない。けれどもこの本では、精緻な企業価値評価理論を知るだけでなく、人々の信頼によって成り立つ資本市場を理解し、市場にかかわる人々の「息づかい」さえ感じることができる。
著者はハーバード・ロースクールに学び、投資銀行などの前線における経験を豊富に持つM&Aアドバイザー。全8章立てで、価値評価方法の本質を説明することを目標に、基礎編と実務応用編に分けて構成されている。第3章までの基礎編では、「企業価値」およびそれを決める要因、価値の測り方など、MBA教育とその実践の場における、「経営のグローバル共通言語」を学ぶことができる。
応用編では、「株価算定とM&Aの実務」が焦点になり、会社の値決めの実際や、「価値創造」の仕掛けに関して、最新のトピックスが数多く収められている。単色刷りではあるが図表が多く、M&Aスキーム全体についての理解の助けになる。巻末では、用語索引が日英併記され、参考書としての使い勝手もよい。
本書は、単に理論を伝えようとする図書ではないし、練習問題がたくさん収められたテキストのたぐいでもない。むしろ、著者の「思い」が託された1冊である。ふとした行間で、現場を大事にする著者のメッセージに触れられるため、読んでいて楽しい。また、歴史的背景にまで言いおよぶ、著者の思いやりにあふれた筆遣いが印象的だ。
これからMBA教育を受ける機会を得ようとする人、あるいはすでに企業価値評価やM&Aの知識を持つ人におすすめできる。これからこの分野に携わる人にとっては、教科書として学べることが多いし、すでに「実戦」にかかわっている人も、著者と視点を共にして、はっとすることがあるはずだ。久々に出合えた、大事にしたい1冊である。(任 彰)
分かりやすいの一言 2002-01-31
現在、外資系の金融機関で働いていますが、非常に参考になりました。バリュエーションの教科書は翻訳もの・学者ものが多く、「日本語なのに何が書いてあるのか、いまいち分からない」ものばかりですが、この本は例として出てくる企業が日本の会社だし、著者の方が仕事で実際に経験したことが流れにぴったりで、一気に読めます。この本は使えます!次は洋書のバリュエーション本に挑戦したいです。
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