非対称情報の経済学―スティグリッツと新しい経済学
薮下 史郎
光文社 刊
発売日 2002-07
非対称情報の元では市場は均衡しない 2005-06-07
スティッグリッツ氏はアダム・スミスを祖とする新古典派経済学の市場原理による市場の自律的均衡の限界を指摘する。それはミクロ経済学の入門書の定番となっている需要と供給が均衡点で交差するモデルが現実の経済活動を正しく表現できない(できなくなってきた)理由として「商品の同質性」「情報の完全性」「所有権」の3つの前提条件の欠落を指摘する。
1つの例は中古車市場である。従来の需要曲線では価格が高いと需要は減り、価格が低いと需要は増えていた。ところが、中古車市場(ネット通販やオークションもあてはまるとレビュアーは理解)では個々の中古車の欠陥に対する情報が供給側は熟知していて、購入側は情報がないという”非対称”ゆえに、消費者の行動心理として、安いもの=何か欠陥があるだろうと判断することになる。すると、これまで”X”字型に交差していた需要と供給の関係のグラフ上で需要は”つ”と”/”の2つの線からなる需要、供給の関係のグラフと化す。しかも、この2つの線が接点をもたない時、市場(取引)は成立しないことになる。ほかの例や説明も大変に興味深かった。
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