ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
P・F・ドラッカー
ダイヤモンド社 刊
発売日 2002-05-24
マネジメントの大家、ピーター・ドラッカーによる未来予測。「日本にとっての最大の問題は(経済ではなく)社会のほうである」とし、来るべき未来を予測し、そこで生じる問題や脅威、機会を明らかにしている。
本書の中でドラッカーは、今日の先進国に共通する問題である少子高齢化のインパクトと、それに応じた雇用・マネジメントの変化について論じている。来るべき未来に対応するために、企業の雇用はどうあればいいのか、さまざまな雇用形態が入り乱れるなかで、マネジメントはどのようになされるべきなのか、個人はどのようにキャリアを磨いていけばよいのか、興味深い議論が展開されている。過去の人口ピラミッドの変化に触れながらこれからの社会を予見したり、また産業革命当時のヨーロッパを振り返りながらIT革命の本質について論じたりする部分には、ドラッカーの歴史観が表れていて読みごたえがある。
本書はまた、トップマネジメントやビジネスパーソンへの啓蒙という意味でも価値がある。トップを含む知識労働者の資質や教育、雇用、評価の方法など、知識社会で働くすべての人に欠かせない視点が提供されており、さらに、資本主義の原則では実現できない個人の豊かさについても言及している。本書で示されているドラッカーの歴史的視点からは、多くのヒントを学び取ることができる。(土井英司)
「金持ち」に走らない高いモラルの本 2002-06-29
次に来る社会は、経済はどうなるか?漠然と持っているこの不安に答えてくれる。 とかく経済ものは、暗い現在を強調して不安をさらに煽るものか、意味不明の楽観論を展開するものに大別されがち。しかし、この本では予想される社会の形を明らかにした上で、個人が対応すべきことはなにかを示唆してくれている。そうした点で、ドラッカー教授の本はやっぱり安心して読める。 改めてハッとさせられたのは、「知識が資本になる」ということ。今はお金が資本ですが、資本主義でありながら「資本」の意味をよく考えていなかったと思う。お金=資本ではあるけれど、お金はあくまでなにかの目的を達成させるための手段であって、それを増やすだけが絶対目的ではないことが分かった。 ミヒャエル・エンデ系の本(エンデの警鐘とか)とともに併せ、読んでみると、これからの世界に対して自分がなにができるかを考えたくなることはうけあい。経済の本なのに、読者のモラルアップにつながるのはドラッカーとエンデくらいかも知れない。
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